文書作成日:2025/07/15
消費税率8%となる食事代の見直し 終わっていますか?

4月1日から、特定の施設で提供される食事のうち一定のものについて適用される消費税率8%の基準額が、引き上げられています。対象となる施設の方は、見直しはお済みでしょうか。今一度ご確認ください。

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8%が適用される金額基準の改正

 特定の施設が行う飲食料品の提供について、一定金額以下の場合、消費税率は8%が適用されています。

 この金額の基準は、消費税の軽減税率制度ができた当初は1食当たり税抜価格「640円以下」だったものが、物価高騰と食材価格の上昇を受け、2024年6月1日より「670円以下」へと30円引き上げられました。

 その後においても高騰は続き、提供されるべき食事の質を確保する観点から、2025年4月1日より「690円以下」へと20円引き上げられました。

 これに伴い、1日累計の場合、税抜価格「2,010円まで」が「2,070円まで」へと、引き上げられています。

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対象となる飲食料品の提供

 対象となる施設・提供者・提供する相手などは従来と変わりません。以下のとおりです。

施設提供者提供する相手等
有料老人ホーム左記施設の設置者又は運営者左記施設の一定の入居者に対して行う食事の提供
サービス付き高齢者向け住宅左記施設の設置者又は運営者左記施設の入居者に対して行う食事の提供
義務教育諸学校左記施設の設置者左記施設に通う児童又は生徒の全て(一定の者を除く)に対して学校給食として行う食事の提供
夜間課程を置く高等学校左記施設の設置者夜間課程において、左記施設に通う生徒の全て(一定の者を除く)に対して夜間学校給食として行う食事の提供
特別支援学校の幼稚部又は高等部左記施設の設置者左記施設に通う児童又は生徒の全て(一定の者を除く)に対して学校給食として行う食事の提供
幼稚園左記施設の設置者左記施設に通う幼児の全て(一定の者を除く)に対して学校給食に準じて行う食事の提供
特別支援学校に設置される寄宿舎左記施設の設置者左記施設に寄宿する幼児、児童又は生徒に対して行う食事の提供

 上記施設において、それぞれの者がそれぞれの者に対して行う飲食料品の提供が対象となります。

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具体例

 2025年4月1日以後に行われる飲食料品の提供について、以下の具体例で消費税率8%(軽減税率)として問題ないか確認してみましょう。

具体例:
  1. 有料老人ホームを運営している当社が提供する食事代は、税抜価格で以下のとおり
    朝食500円、昼食550円、おやつ(昼食と夕食の間の間食として提供)500円、夕食640円
  2. なお、あらかじめ書面により累計額の計算の対象となる飲食料品は、朝食、昼食、夕食としている

 まず、1食当たりの金額基準をクリアしているか確認し、その上でクリアしている食事代について、1日の累計額でもクリアしたものが消費税率8%の対象となります。

 今回の具体例の場合、あらかじめ書面により累計額の計算の対象となる飲食料品は、朝食、昼食、夕食としているため、1食当たりの金額基準をクリアしている食事代について、提供される順番(朝食→昼食→夕食)で累計額を計算していきます。

朝食:500円≦690円 ∴クリア
昼食:550円≦690円 ∴クリア →累計1,050円(500円+550円)≦2,070円
夕食:640円≦690円 ∴クリア →累計1,690円(1,050円+640円)≦2,070円

 以上が消費税率8%で計算することができます。
 おやつは1食当たり690円以下ですが、累計額の計算の対象とはしていないため、消費税率は8%を適用できず10%となります。

 なお、今回はあらかじめ書面により累計額の計算の対象となる飲食料品の提供を明らかにしているケースでした。仮に、明らかにしていない場合には、累計額は提供される順番(朝食→昼食→おやつ→夕食)に計算します。
 つまり、朝食(500円)→昼食(550円)→おやつ(500円)の累計で1,550円となり、これに夕食640円を足すと累計は2,190円となり、2,070円を超えます。そのため、消費税率8%が適用できるのは、朝食、昼食、おやつとなります。

 更なる物価高騰で食事代が上がっている施設も多いと思われます。すでに改正は施行されていますが、まだ改正後での金額基準で算定されていない場合は、改めて算定し、消費税率8%の対象となる食事代に変更はないか確認しましょう。

[参考]
国税庁HP「令和7年4月〜消費税の軽減税率の対象となる給食の金額基準が変わります!(チラシ)(令和7年2月) PDF」「消費税の軽減税率制度に関するQ&A(個別事例編) PDF

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