2024年10月に、賃金引き上げ状況に関する調査結果(※)が発表されました。ここではその結果から、福祉施設等(以下、医療,福祉)の賃金改定状況をみていきます。
上記調査結果から、医療,福祉の直近2年間の賃金改定状況(予定を含む)をまとめると、表1のとおりです。
1人平均賃金を引き上げた・引き上げる(以下、引き上げた)割合は2023年が85.6%だったものが、2024年には100%になりました。
なお、他の産業で2024年の引き上げた割合が100%になったのは、鉱業,採石業,砂利採取業と電気・ガス・熱供給・水道業でした。
次に1人平均賃金の改定額(改定後と改定前の差額)と改定率(1人平均賃金の改定額の改定前1人平均賃金に対する割合)をまとめると、表2のとおりです。
医療,福祉の2024年の改定額は6,876円で、前年に比べ3,000円以上の増加となりました。増加額は全体を上回っています。改定率は2.5%で前年の1.7%より0.8ポイント増加しましたが、全体の4.1%よりは低い状況です。
調査結果全体のデータではありますが、賃金改定にあたり重視した項目(最も重視した項目とそのほかに重視した項目2つまで)の上位5つをまとめると、表3のとおりです。
企業の業績が最も高いものの、2024年には50%を割り込みました。労働力の確保・定着と雇用の維持がその割合を高めています。
地域別最低賃金の全国加重平均の目標が1,500円とされ、賃上げ傾向は今後も続くことが見込まれます。生産性の向上や財務体質の改善など、改定に耐えられる企業の体質をつくることが肝要です。
(※)厚生労働省「令和6年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況」
2024年7〜8月にかけて、産業、企業規模別に抽出した常用労働者100人以上を雇用する会社組織の民営企業3,622社を対象に行われた調査です。有効回答率は49.2%です。
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